本日は、PHP研究所から、2023年に出版されている、針貝有佳氏が著者の「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」という書籍について、紹介しようと思います。
1.著者について
針貝有佳(はりかいゆか)氏は、世界トップクラスの「国際競争力の高い国」「幸福度の高い国」「SDGs先進国」デンマークで暮らす、デンマーク文化研究家で、ライター・リサーチャー・翻訳家としても活動されています。14年以上にわたってデンマークのナマ情報をウェブ・雑誌・テレビ・ラジオ・新聞などから情報発信され、70以上の媒体に向けて執筆記事は400本以上、テレビ出演は10回以上、企業向けのレポート制作は300事例を超えています。『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHPビジネス新書)が5万部突破。 ※著者HPプロフィールより抜粋して紹介 詳しくは、https://www.yukaharikai.com/profile
2.本書を手に取ったきっかけは、「4時に帰って成果を出せる?」
正直な話、私の仕事観の中では、「やることさえやっているのであれば、帰宅時間が早い日があってもいいんじゃないの?」というのがあります。フレックスタイムが導入されていない会社にいるからかもしれませんが、時間の融通が利かないのは、非効率だなぁと感じています。嫌でも残業しなければいけない日があるわけで、むしろそういう日が多いわけで、逆に仕事が落ち着いている日に早く帰ってもいいと思ったりします。そのために、わざわざ有給申請となるとハードルが高くなってしまい、結局は無駄に残業みたいな。
そんな風に思っている私ですので、本屋さんでディスプレイ置きされていた本書の前で足が止まりました。「デンマーク人は4時までには仕事を終えているの?しかも、日本より国際競争力も高く世界1位?」、すごく気になってしまいました。
特に私は、現在うつ病で休職中であり、ひとまずは復職を考えていますが、復職後、場合によっては転職等も考えていく必要もあると思っているので、自分の知る狭い社会の中での働き方に拘らず、広く知っておくことは大切かなぁと思い、読んでみることにしました。
3.本書では、日本とデンマークの考え方の違いが学べる
本書を読んで感じたことは、良いか悪いかは別として、デンマーク人と日本人の考え方は根本的に異なっている点です。これは、小さいころからの国家教育の違いが大きいと思いました。答えの〇×を日本では大切にしますが、デンマークではなぜそのような考えに至ったのか過程も大切にしています。その結果、社会に出てからのデンマーク人は、日本人よりも自分で考えて仕事をしているように感じました。
上司からの細かな指示はなく、マクロマネジメントによって会社は動いており、トラブルが起きたら、その時は上司も協力して解決策を考える仕組みになっているそうです。つまり、失敗もOK。それを活かしていけばよい文化があるように思いました。
日本はどちらかというとマイクロマネジメントで、その上、責任問題は上司が逃げることもよくあります(デンマークでも責任逃れはあるかもしれませんが、それは本書だけではわかりません。)。また、失敗が許されにくい社会です。今でこそ転職も当たり前になってきましたが、終身雇用の考え方が当たり前だったため、一度選んだ会社には死に物狂いでしがみつくしかないような社会だったかと思います。
日本に比べ、社員の自主性が高いのはデンマークであり、また、転職回数は平均で7回ということで、キャリアを形成するうえでは転職が当たり前で、自分に合った仕事、楽しい仕事に結びついているようです。適材適所の考え方が雇用者、従業員双方にあるようです。そのため、仕事を苦にしておらず、また、家族や友人との交流等も大事にするため、仕事のために自己犠牲していません。あくまで2~4時くらいまでに仕事を終わらせ、どうしてもやりきれなかったものは、プライベートな時間を過ごした後、寝る前や翌朝出勤前に少し片づけるようです。あくまでプライベート優先。
その他に、デンマークでは消費税が25%と高く、給料の約半分は税金として納付することになるようですが、医療費も教育費も無料であり、人生何とかなるという安心感があるそうです。今の日本では、年金を納めても老後にもらえるかわからない不安や給料の上昇より物価上昇や増税による収入の目減りといった不安要素が目立っているように思います。政治不信からきていることかもしれませんが、「自分のことは自分で」というのが、日本の歩んでいく道になっているように思います。
4.まとめ
本書では、デンマークの実態を知ることができ、参考になる部分があると思いました。また、日本を否定的にみてしまうこともある一方で、日本の素晴らしさにも気づくことができました。いくら国際競争力があるからといっても、行き届いたサービス等はデンマークより日本が上回っていて、日本ほど快適な国はないかもしれません。が、その裏では疲弊した社会人とういう実態も日本にはあるかと思うので、デンマークに限らずですが、他国の良いものを、うまく取り入れていけると、よりよい日本社会になっていく気がします。
少し逸れますが、「今さら聞けない睡眠の超基本」という書籍の中に、認知症の有病率・生涯発生率では、欧米先進国は減少傾向にあるものの、日本は増加傾向にあるというデータもあり、寝る間を惜しんで残業したりして寿命を削っているとも言われています。あまり昔からの慣習や固定概念に縛られず、自由な発想が受け入れられ、明るい日本社会を今の子供たちの未来に残せたらと思ったりします。
最後に、「うちの会社ってブラックなのかな?」と、ちょっとした愚痴をこぼしてみます。スルーしていただいても結構です😀
私の会社なんか、老害がいっぱい権力をかざしており、新しい考えは却下されてばかりです。「今のやり方で私らはやってこれたのだから、お前らもやれるだろ!」という頭でしかなく、思考停止しているので、議論にもならないのが歯がゆいです。世代交代で解決すればいいですが、「こんな会社に未来はあるのだろうか?」と思ったりします。
まとめという名の愚痴に最後はなってしまい、申し訳なく思いますが、最後までお読みいただきありがとうございました。
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